ブランコも、ポーチ付きの小屋も健在――ラナ・デル・レイが近年のライブでおなじみとなっているステージセットが、今回もサーキットのそばに現れた。F1シンガポールグランプリでのこのパフォーマンスは、彼女にとって約1年ぶりのステージであり、〈White Feather Hawk Tail Deer Hunter〉が初めてライブで演奏された瞬間でもあった。
キャリアを横断するセットリストには〈Young and Beautiful〉〈Video Games〉〈Summertime Sadness〉が並び、彼女はこれまで通りブランコに座ったまま大半の曲を歌い上げ、背後にはダンサーを従えていた。ステージの小屋とポーチの装飾も過去のツアーを踏襲したものだ。今回本当に違っていたのは、〈White Feather Hawk Tail Deer Hunter〉がこのセットリストに加わったことだった。
今年2月にリリースされたこの楽曲は、デル・レイが夫、姉、義兄とともに制作し、長年のコラボレーターであるジャック・アントノフがプロデュースを手がけた、空間的でミニマルなサウンドが特徴だ。新作アルバム『Stove』から公開された3曲目の楽曲で、先行公開された〈Henry, Come On〉と〈Bluebird〉は昨年すでに発表されている。
アルバム『Stove』のタイトルはこれまでに何度も変更されてきた。2024年1月には当初『Lasso』というタイトルで発表され、デル・レイは同年中のリリースを予定し、本作を自身初となるカントリーミュージックに全力で取り組んだ作品だと語っていた。彼女は2021年にもカントリーのカバーアルバムを丸ごと1枚録音したことがあると明かしており、2023年には〈Stand By Your Man〉と〈Unchained Melody〉をカバー、さらに〈Take Me Home, Country Roads〉のカバーバージョンもリリースしている。NMEのインタビューでは、業界全体がカントリーの方向に向かっていることから、カントリーというテーマを維持するかどうか一時迷っていたと語った。その後、アルバムは一旦『The Right Person Will Stay』に改題され、最終的に『Stove』というタイトルに落ち着いた。
前作アルバム『Did You Know That There's a Tunnel Under Ocean Blvd』のリリースから、来年3月で3年を迎える。彼女はW誌のインタビューで、同アルバム収録の〈Stars Fell on Alabama〉は夫であるジェレミー・デュフレンヌ――ルイジアナ州で沼地ツアーのガイドを務める人物――に捧げた曲だと語っていた。
『Stove』の正式なリリース日はまだ発表されていないが、デル・レイはこれとは別に、まだタイトルが決まっていない姉妹アルバムを同時にリリースすると発表した。彼女はInstagramにこう綴っている。「この4年間、本当にたくさんのことが起きた。物事がひとつにまとまるのを待つ時間はとても長く、すべてがバラバラになってしまっても構わないと自分に言い聞かせる時間も長かった。でも大切なのは忍耐だった。曲と曲の間に、古い友人や新しい夢についての新しいアイデアが生まれ、『自分が植えた木は本当に育つのだろうか』という疑念の中から、新しい枝が伸びていった。そうして柳の木の下に、新しい薔薇の茂みが育った」。彼女は『Stove』を「クラシックなアルバム」であり、「最初に思い描いていた通りに美しく、完成されたもの」と評し、両アルバムを「自分の中でも最も美しい作品の2つ」と称した。もう一方のアルバムについては「疑いと希望、そして本当に新しく始めるということは、完全にゼロからやり直すことを意味すると理解したところから芽生えた作品」だと語っている。