
一枚の文字盤を完成させるのに16.5時間、約3,500回の彫刻が必要——これは誇張ではなく、SeltenとウォッチコミュニティプラットフォームWatch Ho & Co.がコラボした「Yum Cha」記念モデルの文字盤で実際に行われている工程だ。モチーフは竹編みの蒸籠(せいろ)の質感。顕微鏡下で一刀ずつ彫り込む手彫り細工に加え、何度も高温焼成を重ねてようやく色が定まる。


このモデルの出発点は、Watch Ho & Co.創業者Jackie Ho氏が幼い頃、祖父母と共に茶楼で飲茶を楽しんだ思い出にある。3周年記念モデルはレーシングウォッチやミリタリーウォッチといった王道の路線を選ばず、家族団らんの食卓をそのままケースの中に持ち込んだ。文字盤を手がけたのはSelten専属の彫刻・エナメル職人Master Qin。純銀ベースのエナメルでハニーゴールドからアンバーへと移ろうグラデーションを作り出し、長年使い込まれた竹蒸籠が蒸気と歳月によって燻されてできる、あの独特の風合いを再現した。針は茶葉の形をあしらい、ダイヤモンドカット仕上げが施されている。この時計の中でもっとも静かで、もっともノスタルジックなディテールと言えるだろう。









