写真には十分なリアリズムが保たれている。壁面には古びた質感を持たせ、素材には使用感のある傷を加えることで、まず目にはこれが普通の建築物だと認識させ、そのあとで理屈が追いついて「どこかおかしい」と気づかせる仕組みになっている。Kunertの作品には〈Underpass〉〈Round Table〉〈Under the Bridge〉〈Balconia〉〈A Room with a View〉といった、一見何気ないタイトルが並ぶ。そのユーモアの奥には、人がどう失敗や恐怖と向き合い、自分の置かれた状況に対してどうにか成立するだけの解決策を考え出すか——という、少し重たいテーマが潜んでいる。ここでの建築は、そうした妥協の身代わりのような存在だ。空っぽの部屋であっても、まるでまだ機能しているように見え、ただその機能の仕方そのものにどこか滑稽さが漂っている。