まず道具があり、それから用途が生まれる——このカヌー「Sharp」が誕生した順序は、通常のデザインロジックとは逆だ。デザイナーのGuillaume Blogetがフランス・モルヴァン地方のRhizomeスタジオに滞在していたとき、スタジオに導入されたばかりの折り曲げ機に出会った。周囲には湖が点在し、機械は真新しい。この二つが重なった結果、生まれたのは工業パーツではなく、実際に漕げる一艘の船だった。

Sharpの船体は折り曲げたアルミ板だけで構成されており、内部フレームは一切ない。折り目そのものがリブとなり、板面自体が構造を成す。二重板構造によって船全体を支え、これによって沈まない特性も生まれる。もともと工業用の板金加工に使われる技法が、比較的ゆったりとしたボート漕ぎという行為に転用されたわけだ。船体は水面上では鋭い折り面の稜線を保ちながら、水面下では漕ぐ力をいかに前進の滑走に変換し、エネルギー損失を最小限に抑えるかという課題に対応している。この流体的な形状は一発で決まったわけではなく、まずハーフサイズのモデルを実際に水に浮かせてテストし、繰り返し調整を重ねた末にフルサイズ版として確定した。









