
同じ一本の酒を、まったく異なる二つの視点で読み解く——それこそが「From Chios to Taipei|キオス島から台北へ」という企画の面白いところだ。主役はギリシャ・キオス島生まれのSkinos Mastiha Spirit。核となる原料は現地で貴重とされる乳香樹脂「Mastiha」で、ハーブ、松、樹脂が絡み合う香りは非常に個性的。台北のTesting RoomとThe Public Houseという二軒のバーが、まったく異なるロジックでこれを読み解いたのも頷ける。

Testing Roomのアプローチは、カクテルを香水のように仕立てること。Mastiha樹脂がかつて香や香水の原料として使われてきた歴史からヒントを得て、「トップノート・ミドルノート・ラストノート」という香水の構造をそのままカクテルに援用し、4種の定番カクテルを書き換えた。入門編のSkinos Rickeyは、フレッシュライムジュースとソーダ水だけでハーブとミネラルの香りを広げる、この酒を知る最もストレートな一杯。ワンランク上のGarrigueは、地中海の灌木が織りなす香りの風景を意味する香水用語から名付けられ、Skinosにシェリー酒、ローズマリー、ピンクペッパーを加え、植物から木質へと重なる層を作り出す。Aegean Sillageは「香りの余韻」という概念を借り、グレープフルーツのほろ苦さから始まり、中盤でグアバとミルキーな甘さに転じ、最後はベチバーの土っぽい香りで締めくくる。そして本命はChios Tini。Skinos、ジン、ライウイスキー、ジャスミン茶を組み合わせた、どっしりとした一杯だ。











