一鍋の和牛を、まずは乾煎りでキャラメルの香りを引き出し、次に昆布だしを注いで関東風の煮込みへと切り替える——これが「橋山・鵲邸すき焼き」台南店がプレオープンで打ち出した看板の食べ方であり、コース全体の中でも最もじっくり味わうべきディテールだ。台北の「橋山」は東京の百年すき焼き店の血統を受け継ぐ店として知られており、今回南下して台南に進出。2026年8月からプレオープンを開始した。店名には「鵲邸」の二文字を用い、カササギ(鵲)は団らんを、邸宅(邸)はもてなしの場を意味する。空間デザインは意図的に余白を残し、光と影で隠れ家的な邸宅の雰囲気を演出しており、台南の街角によく見られるタピオカドリンク店や屋台とは対照的な世界観を持つ。

コースの主役は兵庫県公式認証の但馬牛「神戸牛」で、霜降りの脂肪が均一に入り、肉質は厳格な飼育・選別制度によって保証されている。台南店の看板は「神戸牛・極上献立」コースで、一人前NT$6,280+10%。肉盤にはリブロイ、肩ロース芯、肩バラの3部位が盛られる。調理法はまず関西風の手法で鋳鉄鍋に三温糖を振りかけて和牛を乾煎りし、キャラメルの香りを引き出す。続いて小豆島の醤油だれと特製昆布水を注ぎ、関東風のすき焼きスタイルの煮込みへと切り替える。同じ肉で二種類の食感の層を味わえる仕組みだ。

前菜から副菜まで、海と陸の味わいが重なる
前菜では「紀州梅と愛玉の帆立貝」を提供。水雲(モズク)酢をベースに、鮭卵、愛玉(オーギョーチ)、そして炙った生食用帆立貝をのせている。もう一品「鮭卵豆腐」は絹豆腐に鮭卵とりんごの角切りを合わせ、甘塩っぱさで食欲を刺激する。コースにはさらに「極上和牛と紫蘇の雲丹巻き」があり、神戸牛のトウガラシ(翼板)を関西風に弱火でじっくり焼き、ご飯、北海道産雲丹、キャビアを包み込んで外はカリッと内はしっとりとした食感を実現。加熱調理された「神戸特色赤ワイン旨煮牛と雲丹の釜酢飯」は、和牛のリブを赤ワインでじっくり煮込み、オイル漬け卵黄と雲丹を添えて、濃厚でとろりとした食感を楽しめる。デザートは二品の定番で締めくくる。シェフの包丁技が光る「菊花豆腐」は咲き誇る花のような見た目で、そして食感の層が豊かな「あずき鍋餅」だ。










