パッタイの河粉をオレキエッテに置き換えるなんて、キッチンの思いつきのように聞こえるかもしれないが、実際に食べてみると、きちんと計算し尽くされた選択だとわかる——パスタ自体のコシがあり、鍋気(wok hei)とソースのバランスも絶妙に調整されていて、この定番メニューに新しい食感の層をもたらしている。これがAkanee(¥58)が発する最初のメッセージだ。ここで作られているのは観光客に馴染みのあるタイ風炒め物ではなく、近年バンコクで流行している「New Thai Cuisine」——タイ風の風味に西洋の技法と洗練された盛り付けを組み合わせたものなのだ。

店は長寧の静かな住宅街の路地にあり、昨年9月にオープン。前身はAlley1923で、リノベーションされた一階建ての古い家屋には、アーチ型の天井とやや荒々しさを残したダイニング空間がそのまま生かされている。カウンターはオープンキッチンに面する形だ。こうした空間感覚は、今の上海ではもうあまり見かけなくなった。

腕を振るうのはMay Phannita。Le Cordon Bleu卒業後、バンコクのOliang Bangkok Bistroで経験を積んだ。彼女のスタイルは、真空調理(sous vide)や精緻な盛り付けといった西洋の技術をタイ料理の味の型に落とし込むというもの。ただし、大半の料理は最終的に炭火にかけられるため、手法が変わったからといって風味の本質が地元らしさを失うことはない。

前菜では、クラゲの和え物(Jellyfish with Spicy & Sour Sauce、¥68)が、コリコリとした食感のクラゲに春雨とカシューナッツを合わせたもので、辛さはおよそ9段階中9くらい、感覚を一気に呼び覚ますタイプの辛さだ。辛いのが苦手なら、Avocado Seafood Salad(¥78)に変えてみるといい。ソースの系統は似ているがマイルドで、こちらも食欲をそそる一皿だ。










