毛穴のザラザラした粒々と何年も付き合い続け、あらゆるスクラブやピーリングシャンプーを試してきたのに一向に良くならない――そんな人は少なくない。フロリダ州セントピーターズバーグで皮膚科とモース手術の両方を専門とするNeha Chandan医師は、診察室でよく見かける光景だと話す。「何ヶ月も、何年もドラッグストアの商品を試してきたのに、自分の症状にはきちんと診断名がつくということを知らない患者さんが本当に多いんです」。その病名こそが、毛包性湿疹(follicular eczema)だ。
毛包性湿疹はアトピー性皮膚炎の一種で、ひとつひとつの毛包を中心に体や頭皮に粒々ができるのが特徴。臨床的には褐色肌の患者により多く見られる。鳥肌や単なる乾燥と誤解されがちだが、実際には明確な診断基準があり、治療も可能な疾患だ。
毛孔性苔癬に似ているけれど、出る場所が違う
ニューヨーク在住で美容皮膚科と医療皮膚科の両方を専門とするViktoryia Kazlouskaya医師によれば、毛包性湿疹は典型的な湿疹に見られるような大きな剥離斑にはならず、「毛包を中心とした細かいザラザラの粒々」として現れるという。そのため毛孔性苔癬(keratosis pilaris、通称KP)――毛包周りに角質タンパクが溜まってできる細かい粒々――と混同されやすい。両者の重要な違いのひとつは分布の場所だとKazlouskaya医師は説明する。KPは二の腕の後ろ側や太もも、頬にできやすいのに対し、毛包性湿疹はより広い範囲の体の部位に現れる。また、これまで皮膚科の教材や指導用の画像は色白の肌を前提にしたものが多く、多くの医師が褐色肌における一般的な皮膚疾患の現れ方に接する機会が限られてきたとも指摘する。この状況は、米国皮膚科学会などが肌色の多様性教育に力を入れることで、少しずつ変わってきているという。
診断には通常、生検は不要だとKazlouskaya医師は言う。ほとんどの場合、視診と問診だけで判断がつき、生検が必要になるのは診断がはっきりしない場合や他の疾患を除外する必要がある場合に限られる。Chandan医師は、患者側からかゆみなどの詳しい症状――他に目立った兆候がなくても重要な手がかりになりうる――を積極的に伝え、どんな時に症状が悪化するかを記録しておくよう勧める。また、胸や背中、腕、頭皮などを一つひとつ診てもらうよう医師に頼むことを恐れないでほしいとも話す。ぱっと見ただけでは毛包性湿疹のサインを見逃してしまうことがあるからだ。
最大の誤解:粒々は毛穴づまりのせいだと思ってしまうこと
Chandan医師によると、診察室で最も多い誤解は、患者がこの粒々を「頭皮が洗えていない」「毛穴が詰まっている」せいだと思い込んでしまうことだという。「そう思うと、ひたすら角質ケアを続けてしまいがちですが、それはただ炎症を悪化させるだけです。この粒々は汚れの蓄積ではなく、炎症反応そのもの。こすって落とせるものではありません。効果的な治療に必要なのは、肌をなだめることであって、こすることではないんです」。また、ワセリンやAquaphorのような密閉性の高い保湿剤を患部にずっと使い続けると、短期的には楽になっても長期的には炎症を閉じ込めてかゆみを悪化させる可能性があるとも注意を促す。
Kazlouskaya医師によれば、軽度の毛包性湿疹であれば、日常的な保湿と優しい洗浄だけで改善することが多いという。炎症が目立つ場合は、外用ステロイドや非ステロイド系の代替薬など、処方の抗炎症軟膏が必要になることもある。病変が重度、あるいは広範囲に及ぶ場合は、光線療法や内服薬、生物学的製剤の注射といった全身治療が必要になることもある。
「洗う・保湿する・日焼け止め」の3ステップ
洗浄については、患部が体にある場合、以下のような製品を検討してみてもいい。 Dove Soothing Relief Body Wash With Colloidal Oatmeal無香料処方で、米国湿疹協会(National Eczema Association)の認証マークも取得している。頭皮については、Kazlouskaya医師がとくに勧めるのがSEENの「Fragrance-Free Shampoo」。こちらも同協会の認証を受けており、「香料や刺激成分を含まず、軽い使用感でありながら髪と頭皮をしっかり洗い上げてくれる。湿疹に悩む多くの患者さんの頭皮ケアで、私が一番によく選ぶ製品です」と話す。
セラミド(ceramide)は水分を閉じ込め、刺激物質から肌を守ってくれる脂質成分で、湿疹の人は不足しがちだ。人種による肌の違いを比較した研究では、黒人の肌はセラミド含有量が白人やアジア人の肌より全般的に低く、それだけ肌が敏感に反応しやすいこともわかっている。CeraVe Moisturizing Creamは3種類のセラミドを配合し、同じく湿疹協会の認証を取得している。Kazlouskaya医師いわく、軽度の毛包性湿疹であればこのタイプの製品で改善が期待できるという。頭皮の乾燥がとくに気になる場合は、SEENの「Fragrance-Free Restore Scalp Serum」を併用することで、乾燥や皮むけの緩和に役立つとも勧めている。
日焼け止めが必要なのは、毛包性湿疹が繰り返し起こったあとに残る炎症後色素沈着(PIH)を防ぐためだ。La Roche-Posayの「Anthelios Light Fluid Sunscreen SPF 50」は100%物理的紫外線防御、無香料処方で肌なじみが早く、こちらも湿疹協会の認証を得ている。Kazlouskaya医師は、頭皮に患部がある人は外出時に帽子をかぶることも勧めており、UPF 50+素材の帽子ならより多くの紫外線をカットできるとして、CoolibarやSolbariのアイテムを挙げている。
色素沈着は、我慢して受け入れる必要はない
Chandan医師が見逃されがちだと指摘するのが、この点だ。「私の患者さんの多くにとって、湿疹が治まったあとに残る炎症後色素沈着のほうが、もともとの粒々よりも実は悩みの種になっている。でも、そのことを自分から話す人は少ないんです」。彼女がすすめるのは、色素沈着の治療を先延ばしにしないこと、そしてそのシミと一生付き合わなければならないと思い込まないことだ。「湿疹を早くコントロールできればできるほど、あとで薄くする必要のある色素も少なくて済みます。それに、色素沈着そのものに対しても、対処法はいろいろあります。それと一緒に生きていきたくないなら、我慢して受け入れる必要なんてないんだよ、といつも患者さんには伝えています」。
体に細かい粒々が続けて現れ、市販薬を色々試しても改善しない場合は、褐色肌の皮膚トラブルに詳しい医師に相談することをKazlouskaya医師は勧めている。診断が早ければ早いほど、症状の悪化を抑えやすく、あとで修復が必要になる痕も少なく済む。なお、本記事の情報はあくまで参考であり、皮膚科医による実際の診断や治療の代わりにはならない。