スパイダーマンをテーマにしたTシャツで『Spider-Man: Brand New Day』のプレミアに登場する——これほど頭を使わないコーディネートはないはずだが、Michael B. Jordanの手首を飾っていたのは、オークションカタログの常連でさえ見覚えがないかもしれない超マイナーなモデル、Vacheron Constantinの「Prestige de la France」だった。ケースは細長い台形状で、キャボションカットの宝石をあしらった細身のリューズが付き、一見Cartier Tankのビンテージ変形版のようにも見えるが、その裏にはフランスならではのエピソードが隠されている。
1972年6月、フランスの文化推進団体Comité de Prestige et de Propagande Nationale de Franceが「Diplôme du Prestige de la France」という賞をVacheron Constantinに授与し、ブランドはこれを受けて同名のモデルを開発。当時最も得意としていた要素を一つの時計に凝縮させた——わずかにカーブしたケースライン、細い棒状の針とインデックスのみで構成されたシンプルなダイアル、貴金属素材。初期モデルには手巻きムーブメントcal. K1050が搭載され、厚さはわずか2.8mm、Gyromax式フリースプラング・バランスとジュネーブシールクラスの仕上げを備えていた。
Jordanが着けていたのは、イエローゴールドケースにチャコールグレーのダイアルを合わせた個体。ケース上部にはダイヤモンドが埋め込まれ、ベゼルは細身のポリッシュ仕上げを保ち、冷たさと温かみの対比が絶妙だ。クロコダイルレザーのストラップとカーブしたラグの繋がり方は、Gilbert AlbertがかつてPatek Philippeのために手掛けたいくつかの作品を思わせる。ケースバックにはローレル模様と個別のシリアルナンバーが刻まれており、単なる量産品ではないことが伝わってくる。このモデルは1970年代にいくつかのバリエーションが作られ、2013年にはブランドが「1972 Prestige Collection」として再解釈したが、当時はスポーツ系ラグジュアリーウォッチが全盛期だったため、反応はさほど大きくなかった。
Luke CombsのA. Lange & Söhne Zeitwerk Striking Time
カントリー歌手のLuke Combsは、「ハイローミックスも決まればカッコいい」ことを実証してみせた。カモフラージュ柄のトラッカーキャップにピンクゴールドケースを合わせ、Alan Jacksonのファイナルツアー最終公演(Nissan Stadium)に登場。着けていたのは44.2mmのZeitwerk ref. 145.032。視認可能なストライキング機構、機械式デジタル時・分表示、パワーリザーブ表示、スモールセコンドを備え、シースルーバックからは等トルク脱進機の仕上げが見える。2010年代を代表するLangeのデザインの一つだ。











