1月の新潟は積雪が7フィートにも達し、建物全体が雪に埋もれて屋根だけが雪面から顔を出す。タクシー運転手は角を曲がる前に車を降りて雪をかかなければならないほどだ——これは『Condé Nast Traveler』誌の記者アダム・H・グラハム(Adam H. Graham)が、4か月ぶりに再訪して目にした光景だという。9月に訪れたときは、カエルの鳴き声と稲穂が波打つ風景が広がっていた。この季節ごとの激しいコントラストこそが、新潟の発酵文化が数百年にわたり受け継がれてきた理由なのだ。
公式ルートには含まれていないものの、記者が今回の旅で「必ず訪れるべき場所」に挙げたのが、わずか2部屋しかない宿「Hakko House Nagaoka」だ。シェフ兼オーナーの鈴木翔氏が振る舞うのは、11品の発酵料理からなるコース。それぞれの料理に厳選された日本酒が合わせられ、酒粕クリームを添えたサツマイモの天ぷらや、飛魚だしで風味づけしたレンコン団子などが並ぶ。料理を運びながら鈴木氏が口にしたのは、この土地に伝わる言葉——「冬の雪が、夏の甘みをつくる」。雪国では、四季はそれぞれ独立した出来事ではなく、絶えず巡り続けるひとつの大きな循環なのだ。